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悲しみが乾くまで


深い喪失と再生を模索する映画にも関わらず、
家族のことはすべてを知り尽くしていると思い込んでいる身勝手な主婦の姿に少々驚き、認め(笑)、心の襞に潜む女の暗部に目をそむけずにはいられない作品。
わたしも身勝手だけれど、だけれど、、、う〜ん、ここまでは。。。

オードリーの夫ブライアンはある日、見ず知らずの夫婦の喧嘩に巻き込まれて射殺されてしまう。家族を守ってきた良き父、良き夫がいなくなってしまったのだ。
普通、夫が亡くなれば子供のために働かなくてはならなくなり、現実というものが叩きつけられるのに、オードリーは今までと同じ専業主婦のまま。金銭的にも恵まれ、生活に変化も無ければ、瞬間的にいるべき人がそこにいないというだけで、現実的に夫の死を受け入れることは難しいのだろうなぁとおもう。

以前、ナンニ・モレッティの「息子の部屋」(好きな映画です)でおもったことなのだけど、喪失から再生に進むには、きっちり現実を受け入れ、おもいっきり嘆き、悲しみ死を悼むこと。現実をいつまでも認めなければ、先にはすすめないのだ。

夫には無二の親友ジェリーがいた。彼は麻薬に溺れる逃避型の人間で、彼女は彼を好ましくおもっていない。なぜ夫が彼を見捨てないのか不思議でさえあった。
なのに、彼女はジェリーを家に引き入れる。
夫の代用品として。

やがて、ジェリーが子供の信頼を得、オードリーの知らなかった娘と夫の秘密まで知っており、代用品だった彼が夫ではないと気ずくオードリー。
そして、彼女は彼に嫉妬と、怒りを見せ始める。ジャンキーのくせにと自分にも腹をたてているかのよう。ジェリーは親友を失った悲しみを抱えながら、再生の道を歩もうとするのに、オードリーはそれを潰そうとさえするのだ。
彼女の大写しになる顔、唇、瞳には悲しみと憎しみと絶望と苦しみと、嫉妬でごちゃまぜになってせまってくる。
この嫉妬がやるせなかった。辛いのもわかる。けれど、怒りをぶつける相手がジェリーであるという女の身勝手な哀しさ。

一方、ジェリーはオードリーに想いを寄せ始めていた。けれど、その想いを伝えることはできるわけもなく。その苦しみと孤独を抱えながらオードリーを守り受け入れようとする心の広さがいじらしくて、せつない。ジェリーの人の良さは弱さにも通じるのだけれど、オードリーの夫ブライアンの気持ちが解かるような気もした。

愛する人の死というのは時間を費やすものだ。
けれど、きっちりと死を悼むことで、ふたりの関係も変化していくだろうとおもう。
再生の芽はすぐそこに見えている。
10歳の娘の依存しない生き方。
自ら輝く、というジェリーの言葉。

ジェリー役のデル・トロ、やっぱり素晴らしい。
絶望にすさんだ姿も、再生に向かう生き生きと輝く瞳も観るものの気持ちに響く。
麻薬と戦い苦しむ鬼気迫る演技にも目を奪われる(にしても、デル・トロってブラピに似ているよなぁ・笑)
名優ふたりの戦い(?!)のようだったけれど、やっぱりデル・トロ?!
(チェ・ゲバラも凄く期待できそうだっ)

心の襞をていねいに描いた素晴らしい作品。
スサンネ・ビア監督作品は「しあわせな孤独」だけしか観てないので、
他の作品も観てみたい。

スサンネ・ビア(監督)
ハル・ベリー, ベニチオ・デル・トロ, デヴィッド・ドゥカブニー, アリソン・ローマン, スサンネ・ビア
JUGEMテーマ:映画


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