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国立散策
11時の約束で、南武線「谷保」に着くと、改札の向こうでボタとチエが手を振っていた。
「早く着いちゃった。じつはおしゃべりしていて立川まで行っちゃって、戻ってきたのよ。」
半年ぶりなのに、何年も会わなかったみたいに笑顔がいっぱいで、わたしたちの歴史の深さにわたしも苦笑してしまう。
わたしたちは谷保から国立に向かうのだ。
ボタが「5年ぶりかなぁ」チエは「2年前に着たわよ」と言い、わたしの30年ぶりがなんだか哀しい。
国立は18歳だったわたしたちの思い出の地だ。正確には「邪宗門」が、なんだけれど、わたしの記憶は数年前に見た「散歩の達人」の写真に上塗りされていて、店内のランプだけが頭の隅っこにやたら濃く刻印されているし、下田の邪宗門ともだぶっている。それに、その後村上春樹さんの店をK君と訪ねたことが鮮明すぎるのかもしれない。

「松葉杖できたのよね、S君」「そうそう」とボタとチエ。
「あたし、いた?」と聞くまぬけなわたし。
そんな言葉が届かなかったのか、ふたりはS君の思い出に少女の顔になっていて、また取り残されているような気がしてしまう。
憶えていなかった。半年前に会ったときにもS君の友人のF君の話になった時と同じで、たぶん一番関わりがあったのに薄れていた。そして、思い出の箱が閉ざされている理由ばかりがわたしを占める。ずいぶん混乱していたのか「あ!あぶないじゃない、いら!」って呼ばれで信号無視していたことに気ずくしまつだし。



農家の台所」国立ファームはすべてにおいて新鮮だった。とくに「そーめんかぼちゃ」や「ソルトリーフ」は初めての食感で、玉葱ソルトやしいたけソルト、オリーブオイルにつけて頂くだけで、口の中が喜ぶ。今、農業ってずいぶん元気になっているんじゃないかとおもう。今のわたしたちになっているわたしたちは国立の並木道を眺めながら、子供たちの話ばかりで、それでも主婦になってからの友人と話す「子供の話」とは一味違うのだ。

あいにく「邪宗門」は休業日だった。
昭和の面影は残しているものの、大人がくぐれるのかと思えるほど小さな入り口。
「こんなに小さかったっけ」「ねぇー」と顔を見合す。
長い髪に短いスカート、細い体の18歳の少女たちは、ここで倉橋由美子や金井美恵子の本を読み語り、レモンのような恋の秘め事を抱え、共感と裏切りと連帯と反撥でぐちゃぐちゃになりながら友情みたいなものを積み上げていたのだ。

側にある、やはり昭和の香りを残した「ナジャ」で、2時間のおしゃべりをしているうちに、外は雨が降りだしていた。やはりおばさんのおしゃべりは長いよなぁ。

雨の中を、焼き物の店で品定めをしたり、ギャラリーを数件廻り、ハートだらけのわっかい子の店でハートのもろもろを記念に買い、「変わったよね、国立」と昔の国立駅を思い浮かべ、



行き着いたところは「ル・ヴァン・ド・ヴェール
昭和初期の「戦艦 赤城」の野島新之丞の邸宅がフランス料理店になっている瀟洒な建物。レストランウエディングにも使われるらしい。
ギャルソンはあまり親しみやすさを感じないけれど、デザートは超美味しい。少なくとも5回は「美味しい」と黄色い声をはりあげる。テラスに面したテーブルで、ちょっときどって、でも記念の撮影も忘れずに(おばさんっぽい!)ゆったりとすごした。

ふたりと別れて、わたしはひとりで雨の中を歩いて「谷保」に向かう。
見事な桜の木肌が黒々とひかり、つい「この街、好きだなぁ」と声が出てしまう。
わたしたちは、4人が仲間なのだ。ずいぶん以前の日記にも書いたけれど、一番親しい友人は山口県の大島にひとりでいる。つつみかくさず、わたしの事情をすべて知っているデコ。
今夜は彼女に電話をしようと、隙間にくすぶっているものを抱えながら歩いた。



JUGEMテーマ:日記・一般


| いら | 思う | 13:17 | comments(2) | - |
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いら姉さん:

いきなりこんな前のとこにレスごめんなさい。
ずっと、ここに書き込みたいなと思いながら何となく躊躇してたんですが
やっぱり書こうと思って。

この日記にあるようなこと、全然私には無い経験なのに、何故だかものすごく懐かしいような、
・・・・

前に、ニール・ヤングになぞらえたラブレターの話で、
いら姉さんが
「自分のことのようにして自慢話を聴きたい」みたいなこと書いてくださったでしょう。
あれを読んだ時に(それまでも薄く感じていつつ)初めてはっきり思ったことなんですが・・・

キシェロフスキ監督の映画『ふたりのヴェロニカ』きっと、いら姉さん見てるんじゃないかと思いますが、

あの映画の主人公2人みたいに
会ったこともないし、性格も違うし
互いにその存在も知らないのに
何かが繋がってるような。
どっちが裏でどっちが表じゃないけれど、絆があって、夫々が全く別の人生を生きてるのに影響を与え合っているような。

なんとなーく、ふと、いら姉さんが私にとってのそんな存在であるかのように感じたんです。

だからここを読んだ時も
不思議な気持ちで読んでしまった。

私のものではない、
でも、私に与えられたのかもしれない人生を見た感じ。

ちょっと失礼かな〜って思っていたのですが
でもこんなに長々(笑)感じてしまっているのだから
やはり書いてしまおう。と思いました。

| ろーら | 2009/01/08 1:10 AM |
どきどきするような素敵なレスをありがとう。
わたしも、線というよりも点の部分でぐぐっときて不思議だなぁと感じていました。
それは、どこか、わたしが望んでいたこと、ものを、ろーらさんが掴み歩んでいてくれるみたいな。ですから、ろーらさんの書かれるものを読むのが嬉しいのかもしれません。
でもね、じつはろーらさんの感覚って、凄く娘とかぶるんですよね。だからかしらともおもいます。ビジュアル的にも似ているしね(笑。

『ふたりのヴェロニカ』は大好きな映画です。ていうか、キシェロフスキ監督の作品はすべて好きです。数年前夢中になったのですが、また再見したくなってしまいました。
| いら | 2009/01/08 11:07 AM |









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