annex irabako

<< ケン・ローチが好き | main | ブロークン・フラワーズ >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - |
麦の穂をゆらす風


家にあったドナル・ラニーの力強くも哀しい歌「麦の穂をゆらす風」を
DVDで聴いてから劇場に向かった。

アイリッシュダンスは上半身を動かさずに足で激しく踊るダンスだ。その理由はイギリスにダンスを禁止されていたからで、上半身が動かなければイギリス兵に気ずかれなかったという。でもわたしはアイルランドの人々が母国語を話すことも禁止されていたとは知らなかった。悪名高きイギリスの武装警察隊(ブラック・アンド・タンズ)が英語で名前を名乗らなかったというだけで、17歳の少年をあっさりと拷問の末殺してしまう。この冒頭の冷酷で凶暴な事件からわたしはどきどきしっぱなしで涙がとまらなかった。

アイルランドの歴史を語るかのような重く薄い光、貧しく痩せた土地。揺れる麦もアイルランドの人々の口には入ることがない。鎖に繋がれているような苦しさから自由を勝ち取るために、貧しき若者たちが強大な英国に闘いを挑むのは当然かもしれない。わたしだって立ち上がる。
けれど、この映画ではアイルランドとイギリスの条約調印その後の内戦がわたしたちに衝撃的な痛みを与える。仲間だったもの同士の過酷な戦い。権力は服の色を変えただけで、愚かにも中身まで変えることができなかった。暴力の影には必ず愛を引き裂かれる悲劇が生まれるもの。

今までのケン・ローチ作品でもラストの痛さは衝撃だった。たぶん、そのリアルで妥協を許さない突きつけ方が、過去のこととして放り投げてることを食い止めているのではないかとおもう。
今、現在世界のどこかでは繰り返し起こっている暴力に繋がるものがあると。
そして、深いところからにじみ出て来る涙とともに刻まれ、監督のおもいが響く。

今年観た(数少ないけど)映画の中でも衝撃的な一本でした。
リーアム・カニンガムが印象的だったけれど、やはり美しき青い瞳のキリアン・マーフィーが素晴らしかった。医学を目指した一人の青年が銃を持たねばならない苦しみ、深い絶望が画面から悲鳴のように聞こえてくるのでした。

素晴らしい映画です。
ぜひ多くの方々に観てほしい。

2006年。
ケン・ローチ(監督)
ポール・ラヴァティ(脚本)
キリアン・マーフィー、ポードリック・ディレーニー、リーアム・カニンガム、オーラ・フィッツジェラルド
| いら | 映画ーま | 20:07 | comments(11) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | 20:07 | - | - |
おー、やはり大絶賛ですねぇ。
試写評では評論家によって賛否両論あったようですが、やっぱ映画館で観ないとなあ。
来週あたりに行ってきます。
映画館は混雑してました?
| Taka | 2006/11/23 2:28 PM |
よかったですよー。
評論家の書いたものはひとつも読んでないのですけど、賛否両論はわかる気がしますよ。

わたしは渋谷で、1時からの回だったのですが、老若男女(笑)で混んでました。
立ち見もずいぶんいたし、通路には座布団がひかれてました。
早めに行って整理券をゲットしたほうがいいかもですよ。
| いら | 2006/11/23 9:31 PM |
映画は終わっても、まだ物語は終わってないって気分になりますね。
ケン・ローチの作品すべてに言えることですが。

「誰と戦うのかはすぐ分かる。何のために戦うのか、だ」といった弟の最後の言葉。「すべての子供たちに平等なチャンスを」といったダンの言葉。ケン・ローチの想いがこめられていると思います。
| あぶらすまし | 2006/11/23 10:31 PM |
うーむ、やはり混んでるのですね…。体調万全の状態で時間にも余裕もって臨まないとなあ。

そういえばキリアン・マーフィーって『プルートで朝食を』でもアイルランドの革命的な現代史をかいくぐる青年の役だったんですよ。
監督のニール・ジョーダンがアイルランド出身でこだわりがあるからかもしれないんですけど、『マイケル・コリンズ』なんかも撮っていて、ケン・ローチの『麦の穂をゆらす風』の副読本的な作品として併せて2本観てみようかなと思ってます。
ぼくも感想を書きたいので、そのときにまた改めていらさんとトークを。
| Taka | 2006/11/23 11:32 PM |
>油ん

そうそう!リーアム・カニンガムのダンの言葉が印象的だったですね。「服の色が変わっただけ…」もそーだったとおもう。

アイルランドのことを描きながらも、現代にも繋がっていて、これは反戦映画そのものですね。そー感じました。

「大地と自由」も見直したくなってきたです。

>Takaくん

「プルートで朝食を」はまだDVDになってないのね。今日、つたやに行って探しちゃっいました。キリアン・マーフィー自身がアイルランド南部のコーク出身みたいですよ。

「マイケル・コリンズ」は未見だけれど、彼の立場はたぶんキリアン・マーフィーの兄の方だとおもう。
| いら | 2006/11/25 12:00 AM |
是非、観たいです。
いらさんが、きっとブログで書いていらっしゃるだろうと思い、立ち寄らせていただきました。
| yoko | 2006/11/28 1:29 PM |
こんばんは〜
コメントありがとー。

痛いけれど、すごくよかったですよ。
アイルランド好きの方はぜひ見てほしいです。

芋飢饉で、たくさんの人がアメリカに移民として渡ったけれど、アイルランドに居残ったおばぁさんの土地に対する気持ちにもズーンときましたし、随所に気持ちにひっかかるところがたくさんあります。

ぜひ観てねっ!
| いら | 2006/11/28 10:29 PM |
こんにちは〜♪
ご無沙汰してました TBとコメント嬉しかったです!!
素晴らしい作品を劇場で観れて良かったと思ってます。
そうでしたか〜 >リバーダンス
どうして足だけなのかと思っていたんですが、そんな理由があったなんて・・泣けてきますね。
役者さん達がみな良かったですよね・・やはり自分達のアイルランドという気持ちからなのでしょうね また涙。
| マダムS | 2006/12/02 7:39 PM |
こんばんは〜
コメントありがとう。IRAです(笑。

そーなんですよねー。窓からは上半身しか見えないから足でダンスする。私も知ったときはせつなくなりました。

涙、涙でしたね〜わたしも。内乱の悲惨さをこの映画で知ったのですけど、たまらなかったです。
でも、ほんとに素晴らしい映画でしたね。
| いら | 2006/12/03 11:35 PM |
きのう見ました。

内容をまったく知らずに
「いらさんも誉めてたし……」くらいの動機で
ふらっと映画館に足を運んだのですが
さいしょの拷問シーン、
かなりショック、でした。
冒頭のスポーツの情景からして、さわやか青春ストーリーが始まるのかと思ってたんで。。
| 2号 | 2006/12/04 10:37 AM |
う〜ん。この映画、気楽にすすめられないですよね。
知らないよりも知るべきとおもって観ていたけれど、かなりショックなシーンが多いし、つい目を覆ったところもありますよ。
監督はリアルに描きたかったのかもしれないですね。

2号さんの感想が読みたいな。待っていますね〜。
| いら | 2006/12/05 12:04 AM |









http://irarun3.jugem.jp/trackback/495
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ LINKS
+ PROFILE