annex irabako

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ヤング@ハート
JUGEMテーマ:映画


 父が60歳のころ、初めて歌声を聞いたことがある。
まったく歌とは縁のない人だとおもっていたので、キーが高くてその美声にびっくり。
母は長年コーラスグループに入っていたのに、あきらかに父の方が歌は勝っていた。

退職してから社会との接点は母とわたしたち、兄弟のみになっていった父。
もともとクラシックを聞いていた父は、母が亡くなってから音楽を失っているみたいで、この映画を父に見せたいとおもった。

おじいちゃんおばぁちゃんのロックグループの平均年齢は80歳。
冒頭、ザ・クラッシュの「Should I Stay Or Should I Go」を92歳のおばぁちゃんが歌いだす。すごい!それからディラン、ジェームス・ブラウン、スプリングスティン・・・
ドキュメント風ドラマは、コンサート前の練習や私生活にまではいりこみ、かれらが余生を楽しむ、ということを超えたポジティブな姿を見せてくれるのだ。
もちろん、老人ばかりなのだから「死」との隣り合わせ。
じっさい6週間のうちに二人が亡くなる。
それでも、歌うことで乗り越えるのだから音楽のパワーを見直してしまう。
元気がもらえる。
「わたしが死んでもコンサートはやめないでほしい。空の虹に腰掛けて見ているから」と92歳の元気なおばぁちゃんの言葉が印象的だった。

「Fix You」はコールドプレーの歌声もいいのだけれど、酸素マスクをしながら歌ったおじいちゃんがすばらしかった。
コンサート会場では涙していた人も多数いたけれど、映像を見ていてもすごく感動してしまう。
ディランの「Forever Young」も、もちろん凄い。
心を動かすものを秘めている。

かれらが歌をまるごと自分のものにしていたからこそ、
涙がこぼれ、聞き入ってしまったのだとおもう。

とにかく、熱いぞ、老人力!(笑。

| いら | 映画ーや | 16:31 | comments(0) | - |
4ヶ月、3週と2日


堕胎を軸にした映画というと、「ヴェラ・ドレイク」(感想)で涙したことを思い出す。舞台は1950年のイギリスだった。
「4ヶ月、3週と2日」は1987年のチャウシェスクによる独裁政権下のルーマニア。やはり中絶することが法律で禁止されていた。
そんな中でも「ヴェラ・ドレイク」の底辺には温かいものが流れていたのにくらべて、この作品に終始流れる空気の冷ややかなこと。

街は電灯が乏しく、庶民の生活がぎりぎり苦しいこともわかる。何をするにもIDカードが必要で、いかに国によって国民が縛られているかもわかる。けれど、まれに高価な煙草も手に入れられるし、チケットをわけあったりする繋がりもある。ちゃんと結婚式だって行なわれている。
ルーマニアのお国事情はしっかり底にあるけれど、タイトルは堕胎ぎりぎりのラインをあらわしているのだ。
そして、そこから見えてくるのは「堕胎」そのもののよりも人間の愚かさや葛藤、身勝手さ、どうしようもない弱さ、のような気がする。わたしたちと同じなのだと。

中絶を望むクラスメートの手助けをしようとするオティリア(女子大生)の一日を追ったこの映画、ドキュメンタリーっぽくて、すごくリアル。過激(あれを見せるのはいかがなものか・・・)。
だからこそ、言葉のほとんどは宙に浮いていて、
彼女の顔や背中に言葉が書き込まれている、とおもう。

中絶に無自覚なあまちゃんルームメートのためにわが身を差し出し、ボーイフレンドのおぼっちゃまだめ根性に不信感をつのらせ、それでも彼女は動く。動かされる。
どーしてそこまでするの?とわたしはおもう。そこまで突き動かされるものは何なの?とおもう。ルームメイトもボーイフレンドも選んだのは、彼女自身。
哀しいことに彼女自身なのだけど。

そこには助け合う潔くも清い心も感じるけれど、はたしてそれだけかとおもう。
依存しあうエゴではあるまいか、と。
と同時に、ただただ国に依存していていいのかと。

とても考えさせられる映画。カンヌ、パルムドール受賞作。

2007年・ルーマニア
クリスティアン・ムンジウ(監督・脚本・製作)
アナマリア・マリンカ、ローラ・ヴァシリウ、ヴラド・イヴァノフ
アレクサンドル・ポトチェアン

JUGEMテーマ:映画


| いら | 映画ーや | 20:17 | comments(0) | - |
善き人のためのソナタ


また素晴らしい映画にであった。
残念ながらDVDですけど、今年一番よかったかもしれない。

「わたしの本だから」
その言葉を言う元国家保安省ヴィースラーの顔をわすれることができないだろう。一人の芸術家とひとつのピアノ曲によって、魂の自由さを知った男の喜び。
最後の2分。涙、涙でした。

ベルリンの壁崩壊5年前の東ベルリン。東ドイツでは40年という長い間、反体制を徹底的に取り締まっていた。友人、家族、恋人から密告。国家保安省の監視による社会。国家保安省のヴィースラーは冷静沈着に反体制の分子を自白させるプロ。そんな彼に人気劇作家のドライマンの反体制的証拠を探るように監視命令がくだる。ドライマンには美しい女優の恋人がいた。ヴィースラーの地味で簡素な生活とは180度も違って、限られた豊かさの中で自由で、なによりも芸術を愛している。
連日連夜の盗聴、監視を続けていくうちにヴィースラー心に変化がおきてくる。

ドイツ映画「トンネル」を観たときも衝撃だった。「グッバイ・レーニン」では、改革デモに参加する息子の姿に心臓発作をおこしてしまう母親がいたけれど、「入れ物」の中で無抵抗に従うということだけが許された社会が怖かった。この監視、密告社会がわずか20年前のことなのだから、いまさらながらおどろきます。

けれど、恐怖社会の立役者のような秘密警察、国家保安省の男に焦点をあてたこの映画はイデオロギーが人のすべてを変えてしまうわけではないこと、ただただ国家のため忠誠を尽くした冷徹非業な男であっても、魂は穢れていないことを知らしめてくれる素晴らしい映画でした。
ピアノ曲を聴きながら流した一筋の涙を、わたしは信じる。
反体制的言葉を吐いた幼い少年に名前ではなく、ボールの名前を聞く決意がまぶしい。音楽、詩、文学、そして愛には人を変える力があるのだ、とおもった。

監督は若干33歳。ヴィースラーを演じたウルリッヒ・ミューエが素晴らしい。

2006年・独
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク(監督・脚本)   
ガブリエル・ヤレド(音楽)     
ウルリッヒ・ミューエ、 マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ 
| いら | 映画ーや | 18:55 | comments(2) | trackbacks(0) |
やさしくキスをして

やはり社会派映像作家ケン・ローチ。
タイトルの甘さが示しているようにラブストーリーであるのに、
シビアな問題を提示されてガツンとくる作品だ。

スコットランドのグラスゴー。
カソリック系高校に勤める音楽教師ロシーンは、教え子の兄でパキスタン移民の青年カシムと愛しあう。カシムはDJをしていてクラブのオーナーになることを夢みていた。共通するのは音楽。音楽はいい。そこに垣根はまったく無い。
けれど、お互いの宗教、家族となると根強い相違点が立ちふさがる。イギリスは移民大国だ。移民の2世も増えている。移民同士が知り合うことはふつうにあるだろうけど、恋を成就するとなると簡単ではないと映像は語ってくる。

傲慢なカソリックの司祭と敬虔なイスラム教徒であるカシムの両親の姿はかなり強烈だった。いつの時代なのか!とつっこみを入れたくなるほどムカついてしまったのだけど、これが現実なのだろう。そう思うと哀しくなる。異宗教の引き起こす戦いの根深さは未来まで続くのかもしれないと暗澹たる気持ちにもなる。ロシーンが生徒たちに「奇妙な果実」の映像と音楽も聞かせるシーンがあるけれど、差別も然りなのだ。

さて、二人はハードルを乗り越える。とにかく乗り越えて愛し合う。やさしくキスをする。けれど愛の言葉は宙に分散していくよう。ケン・ローチのシビアな視線は、その先を見せてくれない。
| いら | 映画ーや | 19:32 | comments(0) | trackbacks(0) |
やかまし村の子供たち

ラッセ・ハルストレム監督といえば「ギルバート・グレープ」「ショコラ」そして「サイダーハウス・ルール」がある。どれも心に残っている作品だ。
でも、「人口衛星で死んだライカ犬のことを思えば僕はまだ幸せだ」とイグマルくんが語る「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」の自然なこどもたちには負けてしまう。こどもが主役の映画って、どうしてこんなにノックされてしまうんだろう、って。

で、「やかまし村の子供たち」です。

とくにストーリーに盛り上がりがあるわけでもないのに、気持ちが豊かになる不思議。わたしはすっかり彼らの仲間になって、自然の中を駆け回っていました。

無人島の海賊ごっこ!宝物捜しもやったっけ。大好きなお菓子の歌もつくった。お化け屋敷探検、土に書いた相合傘。みんなと空想のストーリーを作って、その世界の住人になりきり、木に登り川に入り、草を結んだり落とし穴でしかけを作ったり、自然が道具で自然と一体となって遊んでいたのです。薄暗くなって親に叱られることを心配するまで。
もちろん、この映画のような美しい自然はなかったかもしれない。けれど、こどもたちの視点は寸分の隙もなく自分と重なっていたのでした。

「どうして道を歩かなければならないのかな〜」
「おとなが決めたんだろ〜」(柵の上を歩きながら)

「ほこりが凄いよ」(馬車が埃を舞い上げて通ったとき)
「ほこりを好きになればいいんだよ」

映画内の言葉とはちと違っていますが、好きなシーンのひとつです。
ラッセ・ハルストレム監督の作品に一貫したテーマなような気もします。

1986年 ラッセ・ハルストレム (監督)
アストリッド・リンドグレーン(原作・脚本)

| いら | 映画ーや | 19:28 | comments(1) | trackbacks(0) |
ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密
原作本はアメリカで大ヒットしたらしい。アメリカには登場する母親のようにエキセントリックな女性が多いということだろうか,それとも母親から虐待を受けた女性が多いということだろうか,と想像してしまいそうになるけど,母娘の確執はなさそうで有るものなのかも知れない。

とにかく,この母親がどうしようもなく激しい。感情の赴くまま激昂しやすいのだ。劇作家として成功した娘がタイム誌のインタヴューに,母親から虐待を受けたことを話したことで,二人の間には亀裂が入ってしまう。そこに現われたのが母親の仲間,ヤァヤァシスターズの三人の老女だ。彼女たちは聖なる誓いに基づき二人の仲を修復しようとする。
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| いら | 映画ーや | 21:48 | comments(2) | trackbacks(0) |
酔っぱらった馬の時間
国を持たないグルド人は密輸で生計を立てている。

子供達は歌を唄う。それは過酷な労働によって歳とっちゃうよ,みたいな内容。その内容通り子供達は体を張って密輸によって金を得る。

5人兄妹の長兄アヨブは母もなくし父も地雷で失ってから,学校をあきらめ一家の大黒柱になる。
わたしは先日みた「誰も知らない」の優弥くんの姿が浮かんだのだけど,やっぱりモノで溢れた日本の子供とは比較できるレベルではないのかもしれない。かれらの唯一の贅沢品は一冊のノートであるし,過酷な状況は比べようもない。けれど兄妹愛に溢れた姿は重なるし,それは真っ白な雪よりも美しいのだ。

ただ,働かなくては生きていけないグルド人の子供は目が違う。迷いのない目の力。わたしの見慣れた子供の目とは遠すぎて,複雑な思いが押し寄せた。
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| いら | 映画ーや | 19:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
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